ドイツオールドヴァイオリン Sebastian Klotz Mittenwald ca.1780
オールドジャーマンに対する偏見を覆す。イタリアンオールドにも負けないクオリティを貴方は信じますか?
販売価格:5,500,000円(税込)
「ドイツのオールドは音が暗い、音がこもる。隆起の高いヴァイオリンは音量が無い。」それに対し、「イタリアの楽器はやっぱりイタリアの音がする。」というような話が良くささやかれます。しかし、それは真のオールドジャーマン、本物の実力を知らないからの俗説で、全くの偏見であると私は考えます。
確かに、本格的なつくり、そして(健康)状態の良好なドイツのオールドヴァイオリンを見る機会は極めて少ないと言えます。私自身、今回のクオリティのKlotz、オールドジャーマンに出会ったのはこのときのKlotz以来 、実に15年ぶりぐらいなのではないでしょうか。ですから、前述のようなドイツオールドヴァイオリンについての印象を持たれる方が多くても仕方がないのかもしれません。
おそらく、多くの方が普段ご覧になられ、接しているオールドジャーマンヴァイオリンは、高すぎる隆起、不自然な隆起、割れなどの状態が良くない楽器がほとんどなのではないでしょうか?
ドイツに限らずイギリスなどでもStainer型(Jacob Stainerをモデルとする)と呼ばれる楽器が流行った時期がありました。しかしその多くは実際のJacob Stainery よりもはるかに隆起が高く、そしてその隆起のつながりが滑らかでなく不自然な楽器でした。そのような楽器はやはり不健康な響きであったり、音が前に出なかったりという弱点を持つことが少なくありませんでした。
この楽器ももちろん、高い隆起からもたらされる深みのある低音、適度なこもり音というものを持っています。しかしながら程度の低いドイツオールドヴァイオリンとは違い、その低音のキャラクターがヴァイオリンの音の印象、全体を支配してしまうことはありません。中音はあくまで抜けが良く、高音は輝かしく伸びがあります。ですから、コンクール、音高、音大受験はもちろんのこと、専門家のコンサートヴァイオリンとしての使用も十分耐えうるものと私は思っております。もちろん、アマチュアの方にとっても最高のお買い物となるに違いありません。
ドイツのヴァイオリンはドイツの音がする、イタリアのヴァイオリンはイタリアの音がする。というような俗説ではなく、ただ、つくりの良いヴァイオリンからは良い音がして、つくりの悪いヴァイオリンからは良い音がしないという当たり前のことだけを考えれば良いのではないかと私は思います。
ですから、国籍や年代に関係なく、良い楽器は存在し得るのです。今回ご紹介いたしますSebastian Klotz はそれを証明する貴重なサンプルとなるのだと思います。
関連ページ:やっぱりヴァイオリンはイタリアが一番なの?