ヴァイオリン等ブラジル製フェルナンブーコ弓について
ブラジルで加工、製品化されたフェルナンブーコ弓も輸出が全面的に禁止されることになりました
ヴァイオリンなどの弦楽器の弓に使用される材料はフェルナンブーコ(ペルナンブコ)という木材であることは良くご存じかと思います。このフェルナンブーコは、絶滅のおそれがあるということでワシントン条約により、ブラジルからの材料の輸出、国際取引に際しては厳しい制約が設けられていました。
しかしながら、ブラジルで弦楽器の弓として製品化されたものについては、何ら国際取引つまり輸出に関する制限がありませんでした。
それならば現地で弓を生産すれば良いということで、ブラジル国内での弓の製作が盛んになったのです。
その結果良質なフェルナンブーコを使いながらも比較的安価な弓を我々も手に入れられるようになったのです。
弦楽器サラサーテでも、ヴァイオリン弓を選ぶ際の第一選択肢として、ブラジルで生産されたフェルナンブーコ弓を皆様にご案内してまいりました。
ところが、このたびブラジル政府は原材料としてのフェルナンブーコだけでなく、国内で弦楽器の弓に加工、製品化されたフェルナンブーコ製品の輸出も禁ずる政策に出たのです。ですから、今後ブラジル政府の方針、例えば政権が代るとか、ブラジルの世論が変わるというような大きな変革が無い限りは、ブラジルで生産したフェルナンブーコ弓を手に入れることはできなくなりました。
ただし、これはブラジル政府の政策、方針であって、ブラジル以外の国で生産されたフェルナンブーコ弓については上記のルールは当てはまりません。つまり、例えばベルギーに現在ストックされているフェルナンブーコ材を使用し弓を製作し、それをベルギー国外へ輸出することについては何ら制限はかかっておりません。
ですから、ブラジル製のフェルナンブーコ弓が手に入らなくなっても、ブラジル以外の国で生産されたフェルナンブーコ弓については、これまで通り手に入れることができます。
この一連のブラジル政府の発表で、直ちにフェルナンブーコ製の弓が手に入らなくなるということではないことをご認識いただきたいと思います。
もちろん、材料であるフェルナンブーコの原産国であるブラジルから材料も製品も供給されないとなれば、ブラジル以外の各国にストックされているフェルナンブーコ材には限りがありますのでいずれ材料は枯渇してしまうとは思います。
これは当店でブラジル製弓をお求めになられたお客様からいただいたお話ではありますが、某楽器店ではブラジル製弓の価格を、これまで販売していた倍の価格に値上げしたとの情報もあります。確かに希少なものになってしまったわけですが、もし倍の値段も払うのであれば、ブラジル以外の国で作られた弓から良いものが充分選べるはずです。ですからそのような動きには煽られないようご注意ください。
因みに当店のブラジル製弓の在庫は残り1本です。
ブラジル製フェルナンブーコ ヴァイオリン弓(金・黒檀)
製作:Manoel Francisco
770,000円(税込)
弦楽器サラサーテではこれからも厳選した弓のご案内、また間違いのない弓の選び方をお伝えしてまいります