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Jan Kudanowski 1974 Cremona-Birmingham (410mm)

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年代、つくり、風格、音、全てにおいてモダンイタリーに匹敵 。モダンイタリーに劣るのは“価格”だけという、ある意味嬉しい楽器です。

ニスの状態はこの画像ではわかりにくいと思いますが、表面に細かなひび割れが入っています。こう申し上げるとドキッとされる方も多いのではないかと思います。もちろん、ポロポロとどんどんと剥がれていってしまうようなひび割れの状態は好ましくはありません。しかしひび割れや皺というのはニスの乾燥度、経年変化を測る上で重要な指標となります。そして軽微なひび割れや表面の皺というのは、厚めの良質なニス(すなわち速乾性でも無く、乾きが極端に遅いものでも無いもの、また硬すぎず柔らかすぎないもの)が塗られた証でもあります。 ですから、こういったひび割れは “有り難いひび割れ”と言って、お客様にいつも説明しております。モダンに近づいているという“良い”兆候なのですから、どうぞご安心ください。

さて製作家のKudanowskiについてです。名前から、まずイタリア人では無いことはわかるのですが、ラベルにも「Jan Kudanowski of Cremona made for Thomas Smith Luthiers Limited Birmingham 」と書いてあるだけで、それ以上のことは何もわかりません。 しかし、楽器さえ良ければ、製作家の国籍や経歴には関心が無い私のこと、それで困ることは何も無いのでそのままになっておりました。
ところがある日のことです、別件で「I Liutai di Cremona Il Novecento」という本 (クレモナの国立ヴァイオリン製作学校の卒業生、 卒業年度が載っている本)をパラパラめくっていると、何とKudanowskiの名前が載っているではありませんか。

Jan Kudanowski はクレモナのヴァイオリン製作学校の1971年度の卒業生でした。
生まれは1940年ポーランドとなっていました。 この本はイタリア語でしか書かれていないので正確には訳せませんが、どうやら Pietro Sgarabotto 、Gio Batta Morassi に師事したと書いてあるようです。 因みに、 1970年には Giorgio Scolari 、1972年にはStefano Coniaが 同校を卒業しています。 そのような時代にKudanowskiはCremonaに居たのです。

この楽器が“モダン”の雰囲気を持っているのもさもありなん。モダンの巨匠 Sgarabotto から伝統が継承されていく、まさにその現場に Kudanowski は 立ち会っていたわけですから。

卒業後何年までCremonaに居たかはわかりませんが、その後BirminghamのThomas Smith に 職人として就職(?)したのかもしれません。そう考えるとラベルに書いてあることの意味が理解できます。

サイズは41cmですので、ヴィオラ専門の方にも充分ご満足いただけるものと思います。もちろん音の点でも満足していただけるはずです。30年の経年変化の恩恵か、実にレスポンスが良く、かつまろやかさや深みもあります。
また、ヴァイオリンを弾いているがこれからある程度ヴィオラもやっていかなくてはならなくなった(しかしヴァイオリンのようにはヴィオラには沢山予算は割けない)という専門家の方、専門家を目指す方にも最適です。この価格からは考えられない能力を発揮してくれるはずですので、お仕事にも充分耐えられます。