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クレモナ新作ヴァイオリンには珍しいオールド仕上げ、アンティーク仕上げのヴァイオリンのご紹介。
このヴァイオリンはニスを剥がすなど手をかけたオールド仕上げを施した del Gesu のコピー楽器となっておりますが、特定の(年代の)del Gesuを忠実に模したもの(レプリカ)ではありません。ただ、f字孔の大きさ、形状などから察するに、後期のdel Gesu を模したものであることには間違いはないでしょう。サイズも del Gesu の標準である352、3mmで作られています。
断定は出来ませんが、裏板に見られる特徴 から材料にかなり古いものが使われたのではないかと推測されます。一見すると 割れのようにも見える線は、元から存在するシミや節です。古い材料にはこういったものが見られることが多いとも言われています 。
そのせいでしょうか、G 線やD 線の響きはとても新作ヴァイオリンとは思えないほどの深い音がいたします。そして、このヴァイオリンですと、重音を奏したとき、まるでイタリアのオールド名器かのような得も言われぬ音の混じり合い方をいたします。
一般の新作ヴァイオリンやモダンイタリーなど単音では非常に元気良く鳴るヴァイオリンであっても、重音を弾いたとき、どう弾いても音が混じり合わない、どんなに音程に気をつけても、二本の弦がぶつかりあって音程が狂って聴こえる等々、途端に馬脚を現すことがあります。このような楽器で バッハの無伴奏ソナタやパルティータの緩徐楽章を弾くと全く様になりません。
そのような場合、やはり100年~300年と年代を経た楽器は重音が良く響き合い、程好くブレンドするという点で断然有利になるのですが、このヴァイオリンはそういう年代の古いヴァイオリンに全く引けを取りません。そういった点からも古い材料が使われているのではと私が推測するわけなのです。
これまで重音奏法に苦手意識をお持ちの方、是非一度このヴァイオリンをお試しになってみて下さい。
『今まで重音が上手く弾けなかったのは決して腕のせいではない!』と言えるようになるかもしれません。