バイオリン(ヴァイオリン)販売・専門店・
弦楽器サラサーテ・東京(渋谷)から25分

完全予約制 10:00〜19:00 不定休

クレモナ製ヴァイオリンではありませんが、間違いなく名器の一つです

イタリア、パルマ産の新作ヴァイオリンAndrea Zanre 2018

数ある新作ヴァイオリンの中で最良の音、最高のパフォーマンスを示すことは間違いありません

イタリア新作ヴァイオリン

 

Sold

 

イタリア、パルマと聞いて、多くの人の頭に思い浮かぶのは有名なチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノであったり、生ハム、プロシュット・ディ・パルマなのではないでしょうか。
思わずよだれが出そうですが、しかしヴァイオリン愛好家として忘れてはならないのは、Gaetano Sgarabotto (ガエタノ・ズガラボット)が創設したパルマ弦楽器製作学校の存在です。そして、その学校はRenato Scrollavezza(レナート・スクロラヴェッツァ2019年没)に引き継がれ、ボローニャ、ミラノ、パルマの弦楽器製作の伝統を守ってきました。

このヴァイオリンの製作者Andrea Zanre(アンドレア・ザンレ)はパルマ弦楽器製作学校でスクロラヴェッツァの教えを受け、現在はスクロラヴェッツァの娘であるElisa (エリーザ)とともに、Scrollavezza&Zanreとして、Renato Scrollavezza(レナート・スクロラヴェッツァ)の製作工房を引き継いでいます。また、ElisaとZanreはレナート・スクロラヴェッツァ引退後、レナート・スクロラヴェッツァ製作学校(パルマ弦楽器製作学校)で教鞭もとっています。

私見ですが、レナート・スクロラヴェッツァの影響が強いのは当たり前かもしれませんが、血のつながった娘のエリーザの楽器の方のように思います。まるでモダンイタリーを思わせるようながっちりした造形であり、またそのような逞しい音のように思います。一方のザンレの楽器の方はもっと軽く、繊細な造りです。

軽いと言いますと、スカスカで密度の低い材料を使った柔らかいけれどもどこか芯の無い音を連想しますが、このザンレのヴァイオリンはその想像とは全く違った音、良い意味で全く裏切られた音がします。
軽く作るつまり板を薄く削るか、軽い柔らかな材料、密度の低い材料を使うと、低音は豊かになり、弱音は出しやすくなりますが、反面、レスポンス(発音)が鈍く感じたり、強く弾いた時に音が前に出てくれなかったり、音に芯が無くなる傾向にあります。
ザンレのヴァイオリンがそうならないのは、軽いけれども密度の高い、強い材料を相当吟味したうえで製作に使用しているのではないかと考えます。以前見た彼の作ったチェロも恐ろしく軽かったので、そういう材料選びをしているのだと思います。
ですから、レスポンスの速さと音の深み、輝かしさと落ち着きと、普通なら相反するものを同居させることに成功したのです。

また、ザンレはAmati(アマティ)、Stradivari(ストラディヴァリ)、Guadagnini(グァダニーニ)などイタリアオールド楽器の研究者でもあります。そしてその研究はX線撮影なども含む、楽器の内部構造にまで及んでいます。Sgarabotto 、Fiorini、 Bisiach等のモダンイタリアの巨匠からの影響も受けつつ、彼の興味の多くは、もっと古いオールド名器に向けられているのではないかと、彼の著作、出版物などを見ると強くそう思います。

まずこのヴァイオリンの軽さを感じ、そしてその音の深み、輝かしさを是非試奏にてお確かめください。