TV番組「なんでも鑑定団」でお馴染みの中島 誠之助氏の著書に 『骨董の真贋』(二見書房)という本があります。その中に、「鉄人が伝授する鑑賞の鉄則」という項目が あるのですが、それを読んでみますと、骨董品のみならず、ヴァイオリン選びにも大変に役立ちそうです。ですから、その内容についてご紹介したいと思います。
各々の項目についてひとつひとつ、中島 誠之助氏の説明に加え、それをヴァイオリンなど手工弦楽器を選ぶときにどう応用したらよいか(私なりに解釈したものを)順次解説していきたいと思います。
鉄人、中島 誠之助が伝授する鑑賞の鉄則
「 」内は中島氏の言葉 その後は私なりの解釈、解説です。
第 3条 年代にこだわるな
「年代の古さだけにこだわりつづけると、もはや本当にいいものを見つけることができなくなっています。」
ヴァイオリンの製作や販売に携わる人間は、そこから学び取らなければならないことが沢山あります。
しかしながら、単に弾くために個人の方自らがヴァイオリンを所有するためだけでしたら、古さにばかりこだわる必要はないのではないでしょうか。
逆に古さにこだわりすぎると、ただ古いだけのヴァイオリン(きちんとした技術を持っていない人間が見よう見まねで作ったようなもので、単に古くなっただけ)というような楽器にもひっかかりかねません。
また古くて良いものは、既に誰かの所有物として納まってしまっていることが多いとも考えられます。ですから、良いものがそう多く出回るはずはないとも言えるのです。
古さだけにこだわらず、良いものでありさえすれば、新しいものであってもきちっと目を向ける必要性があるでしょう。
「新作ヴァイオリンはすぐには鳴らない、弾き込まなければ使えない」
というのはもはや迷信です。
たまたま出来の悪い新作楽器を弾いたがために、そう感じた人がいただけなのです。
新作楽器が「使える」という証に、新作をメインの楽器として使用する演奏家も増えてきています。また、メインであるオールド銘器の他にセカンド(予備)として新作ヴァイオリンを持つプレーヤーも多数います。
疑われる方は、実際に新作楽器で演奏した録音もいくつか出てきていますのでイタリア新作ヴァイオリンの音が聴けるCD を参照され、実際の音を聴かれてみてください。
要はヴァイオリンは新しい古いに関係無く、良い楽器は最初から良い音で鳴るし、ダメな楽器はいくら弾き込んでも良い音にはならないということ。それが真実なのです。
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