私も楽器を仕入れるときは一人の買い手でもあります。そういう意味では、そのときは皆さんと全く同じ立場であると言えるでしょう。
皆さんと同じ一人の買い手でもある私が日常楽器を選ぶときに気を付けていること等お話していきたいと思います。
一番好きな音色はどれか? と考え込んでみても 答えは出せない
前回のブログで自分にとっての最適の1台、最高の1台を無理に選ぼうとしてはいけないというお話をいたしました。今日のブログはその続きとも言える内容です。
前回は、ご自分に最適の楽器は1台に絞りきることは困難であること、その理由は正解が一つとは限らないからというお話をいたしました。
好きな音、音色というものも、まさにそれと同様、どれが一番というようにはっきり決められない性質のものではないかと思うのです。
あなたは、一番好きな演奏家、一番好きな作曲家、一番好きな女優(俳優)は誰ですか?と問いかけられて、すぐに答えられるでしょうか?一人に絞り込めるでしょうか?
仮に一人に絞り込んだとしても、それは別の日に聞いたら、前言った人物とは違う人になっている可能性があるのではないでしょうか。
別の例をあげれば「今日は何でも好きなもの奢ってあげるよ」と人から言われたとき、イタリアンも良いが、お寿司も食べたい、中華も悪くないな、一体どれにしようかと迷いませんか?
そして、決めるときは、昨日は魚料理だったから今日は肉にしようとか、今日はちょっと体調が悪いから中華ではなく和食にしとこうかなどと考えるのではないでしょうか?
要するに好きなものといっても、複数あるはずなので、「一番好きなもの」というのはその時々によって変動する可能性が大きいということなのです。その結果迷いが生じるわけです。
一方、嫌いなものというのはいつでも安定して嫌いなはずです。
例えば嫌いな食べ物ですが、私の場合は「セロリ」です。「今日はセロリを食べてみようかな」などという気分になることは決してありません。いつでも安定してセロリは嫌いなのです。
ですから、ご自分が好きなヴァイオリンの音も、どれが一番好きなのだろうと自分に問いかけたところで、弾く場所によって、その日の気分によって、比較する楽器によって変わってくる可能性が高いでしょう。弾く条件が変われば結果が変わる可能性が大きいのです。そういうなかで、必死にどれが一番好きかと自分に問いかけ続けてもあまり意味はないのではないでしょうか。ただ激しく迷いまくるだけだと思います。
しかしながら、嫌いな音、何だかしっくりこない音の楽器というのはそれよりは明確に決めることができると思います。
簡単にわかるところ、はっきり決められるところ、まずは「セロリ」を排除することから手をつけるのが得策だと思います。
まとめ
一番好きな音、音色のヴァイオリンを絞り込むことは困難です。それは条件によって変動してしまう可能性が大きいからです。
ですから、無理に絞り込もうとせずに、はっきりと決められる要素、嫌いな音色、嫌いな音の
ヴァイオリンを排除していきましょう。
弦楽器サラサーテでは『間違いの無い楽器の選び方』をご提案しております。