ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ 弓 折れたときに修理可能な場合
弓は折れる箇所によって修理が可能かそうでないかが決まります。こちらでご紹介しておりますのは、修理が可能な箇所の例です。
この動画でご説明しているように弓のヘッドが木目に沿って割れた場合は、接着してさらに楔を打ち込むことでしっかりと固定することが可能なのです。
ヘッドが飛ぶというような言い方もしますが、実際に演奏中などに弓の先、頭が割れてしまうこともあります。
私が聞いた話ではテツラフの弓がリサイタル中にそのようなことになって、演奏を中断せざるを得ない状態になったそうです
ヘッド部はスティックの部分と違って可動する部位ではないので、きちんと修理さえすれば、元の性能を損なうことはありません。
ただ、最も力が加わっている部分ですので、ただ貼りつけただけではまたすぐにそこから剥がれてしまいます。
ですから、接着するだけではなく、ヘッドに縦に楔を打ち込んで、固定する必要があります。
このようにすれば、弓として販売価値は残念ながら無くなりますが、道具としての価値は蘇り、前と同様か、あるいは補強されたために、前以上にしっかりとした性能で使っていただくことができます。考えようによっては、スティックの力が強い材料だったために、ヘッドに力が集中しすぎて、何かのきっかけで割れたとも言えるからです。スティックが弱い弓の場合はこのような事故は起こらないでしょう。
こういうヘッドの事故を防ぐためには、弓の毛を張った状態では、できるだけヘッドに衝撃、刺激を与えないことです。日常何気なくやられている方も多いかと思いますが、弓で譜面の箇所をトントンと指示したり、譜面をめくったりというような行為。この話を聞いたら、それらの行為が実に危険極まりないものかおわかりになるでしょう。
また、冬など暖房機、エアコンなどによって空気が乾燥しているとき、練習場、ステージなどが異常に乾燥状態にあるとき、そのようなときは弓毛が乾燥により縮みますので、普段通り張ったつもりでも、知らず知らずに弓がパンパンに張ってしまっていることがあります。そのようなときは、弓のヘッドに普段以上の力がかかってしまっていますので、弓先にほんのちょっとした刺激を与えただけでも先が割れてしまう、折れてしまうということがあります。冬場は弓が張り過ぎていないか練習中も小まめにチェックする必要があります。
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