ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの選び方について、2015年開催の弦楽器フェアのパンフレットに日本弦楽器製作者協会会長園田信博氏が挨拶文の中ですが、非常に興味深い内容のことをお書きになられていましたので、ここで、それを披露させていただきます。
私はヴァイオリンからコントラバスまでよく調整を頼まれます。「楽器の価格、古さ、誰が作ったか?」と言うことに関わらずその楽器をベストの状態にすることをいつも心がけています。「価格が高い、古い、名のある製作者の楽器」であっても、いくら頑張って調整してもがっかりするような音しか出ないものも多々あります。それでもそういう楽器で持ち主は喜んで演奏しています。
あるテレビ番組で慢性腰痛の治療の特集がありました。患っていたぎっくり腰が既になおっていて身体的な異常が見当たらないのにいつも腰が痛いという症状の原因は何か?
研究の結果、痛みへの恐怖心が脳に作用して幻の痛みが続くとのことでした。
また、オーディオ機器の雑誌に「音の感じ方は心理的な要因も大きく影響することが知られている。」との記述を見ました。同じ性能でも価格の高い方や最新の機器が良いように聴こえてしまうということです。
楽器でも上に記しましたように客観的に見て良くなくても、「価格が高い、古い、名のある製作者」という要素が加わると音に敏感なはずの演奏者の判断を狂わせてしまっています。いつもどうしてこんな事が起きるのか考えていましたがこれも脳が深く関わっているのではないでしょうか。
それでは弦楽器フェアに出展されている楽器を「価格、古さ、誰の作品か」を考えずに試し弾きされ気に入った作品を探し出してください。またこの経験が今後の楽器選びにお役に立てれば幸いです。 日本弦楽器製作者協会 会長 園田 信博
「価格、古さ、誰の作品か」を考えずに試奏して気に入った楽器を選ぶこと
私も全く園田氏の意見と同感です。これこそが常日頃から私が皆様にご提案し、ご理解していただきたいと考えている「楽器の選び方」なのです。
弦楽器サラサーテでは『間違いの無い楽器の選び方』をご提案しております。