ヴァイオリン(弦楽器類)の証明書・鑑定書について、何回かに分けて
お話してみたいと思います
ヴァイオリンを買う時、鑑定書・証明書は本当に必要なの?第1回
最近「鑑定書、証明書がついていないので購入するのが不安だ」とか、「良い楽器で気に入っていたのだけれども、証明書が付いていなかったので購入を見送った」というような話だったり、「証明書が付いていなかったので、鑑定してもらって鑑定書を作ってもらった」というような話をよく聞くようになりました。
確かに、最近は楽器、弓に証明書、鑑定書の類が付いているものが多くなってきているように感じます。
私が楽器や弓を見始めた1990年頃は証明書、鑑定書と言いますと、例えば弓で言えばサルトリーやラミー、ボアランといったクラスより上位の弓にしか付いていませんでした。それも限られたものにのみ付いていて、付いていないものも普通に売られていたように記憶しています。
それが、現在では、モリゾやバザンといったクラスの弓にまで、一応弓の権威と言われるフランス人の証明書が付けられて売られていたりします。
それには、この20年、30年の間にフランスの良い弓が少なくなり、ビッグネームの弓の値が高騰したことがその背景にはあると思います。銘弓の値段につられて、下のランクの弓もフランス製であるという理由で、どんどん価格が上がっていったからです。
それまでは、手軽に買える値段であっったものがそれなりの価格になってしまったので証明書が無いということが買う側にとっての不安材料になったのです。
それでは果たして証明書や鑑定書が付いているものは良い楽器や弓なのでしょうか?
そして、それらが付いていれば売るときに必ず高く売れる(財産としての保全になる)ものなのでしょうか?
それらの疑問を検証する前に
まず証明書、鑑定書の類には大きく分けると二つあるというお話をいたしましょう
1)製作者本人自らが書いたもの
これは自筆の証明書、製作証明書というように呼ばれることもあります。
購入時に受けとった領収書、納品書、。購入前後にやり取りした書簡類なども、自筆の証明書に準ずるものとして扱われることがあります。
2)製作した本人以外の人間が書いたもの
それでは、これらは誰が書くかということになるのですが、だいたい
A) 弦楽器商(ディーラー)
B) 製作者の師匠
C) 製作者の親族(師弟関係にあることが多い)
D) 他の製作者、弦楽器職人
E) 本の編纂者
のような人になるでしょう。
次回からそれぞれ詳しく解説してまいりましょう。
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