ヴァイオリンを買う時、鑑定書・証明書は本当に必要なの?第3回
ヴァイオリン(弦楽器類)の証明書・鑑定書についてのお話の第3回目になります。
今回は、製作者本人以外によって書かれた証明書・鑑定書類 についてです
これらの鑑定書、証明書の表紙を見ますと(英語なら)「Certificate of Authenticity」というようなタイトルが付けられています。直訳するなら真正、真実、の証明というような意味になり、すなわち「本物である証明」を記した書類ということになります。
ですから、いかにも、本物というお墨付きをもらえたかのように、皆さんはこれらの証明書・鑑定書を有難がっているのではないでしょうか。
しかし、内容を良く読んでみるとわかるのですが、これらの証明書・鑑定書の書き出しはだいたいにおいていくつかのパターンが決まっており、どれを見ても「製作者は何々である」というようにはっきり製作者を断定するような記述はしておりません。
一例をあげれば「in my opinion~」のような書き方です。つまり、私の意見では、私見では「誰それの作だと考える」というような言い回し、内容なのです。
そうすると、表紙のタイトルこそ勇ましいのですが、鑑定書・証明書といっても、実際にその程度の内容のもので、本当に「本物」のお墨付きをもらったと言えるのか?という素朴な疑問が湧いてきませんか?
そもそも鑑定書を発行するような公的な機関はどこの国にもありませんし、認定するような国際的な機関もありません。もちろん鑑定をする人間を育成、教育するような機関もありません。
つまり、ヴァイオリン等弦楽器の鑑定書は全て「私文書」で、誰でもが勝手に発行できる性質のものなのです。
誰でもが書けるもの、誰が書いても良いものとなれば、当然どんな人が書いたのかが気になってくるわけですが、それについてはすでに第1回目で触れました。
A) 弦楽器商(ディーラー)
B) 製作者の師匠
C) 製作者の親族(師弟関係にあることが多い)
D) 他の製作者、弦楽器職人
E) 本の編纂者
こういった人たちが、主に鑑定書、証明書を発行している人たちになるでしょう。
次回、これらについて解説してまいりましょう。
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