人気TV番組「なんでも鑑定団」でお馴染みの中島 誠之助氏の著書に 『骨董の真贋』(二見書房)という本があります。それを読みますと、ヴァイオリン選びにも大いに役立ちそうな事柄が書いてありました。それをここでご紹介したいと思います。
各々の項目についてひとつひとつ、中島 誠之助氏の説明に加え、それをヴァイオリンなど手工弦楽器を選ぶ際にどのように応用していったらよいか(私なりに解釈したものを)順次解説していきたいと思います。
鉄人、中島 誠之助が伝授する鑑賞の鉄則
「 」内は中島氏の言葉 その後は私なりの解釈、解説です。
第 9条 モノに直接触れなさい
「業者と仲良くなったならば、つぎはものに直接触れることです。」
「ガラス越しに眺めていては、その品の良し悪しは半分くらいしかわからないものです。
残りの半分を会得するには、実際に自分の手で持ってみるしかないのです。」
これは、楽器ですから、多かれ少なかれ皆さんやっていらっしゃると思います。しかし、そのやり方に問題がある場合もあります。
こちらがその楽器の見るべきポイントをわざわざ説明してお渡ししているのに、そこを見もしないで、ただすぐに楽器を弾いてしまう方がいらっしゃいます。
もちろん、楽器ですから、弾いてナンボなのはわかりますが、せっかくその楽器の見るべき点、楽器の見方について詳しくご説明しているのに、それではがっかりです。
また、高価な楽器をお出しすると、お見せしても怖がって手を出そうとしない方もいらっしゃいます。しかしそういう時にこそ、音を出すだけでなく色々な角度から楽器を見て、 触ってみるべきなのです。
実は弾くだけではなく、触ってみると、 製作に精通していなくても、材料の質感、加工の精度などが結構良くわかってくるものなのです。
上手く弾けないから、下手だからと尻込みすることはありません。楽器を良く見る、そして楽器そのものから何かを感じ取るということに関しては、弾ける、弾けないという演奏の腕前は関係ありません。堂々と見せてもらうようにしましょう。
かつて私は師匠ともいうべき恩人に「楽器を良く磨きなさい」と習いました。
それは、お客様にお見せするものだからという意味合いももちろんあるのでしょうが、実は磨いていると楽器の隆起の僅かな違いなど細かい部分が本当に良くわかるものなのです。私の師匠はそうやって「楽器の違いや良い楽器の雰囲気というものを肌で感じ取れ」と言いたかったのですね。
残念なことに絵画や美術品と違い、美術館、博物館のような存在が弦楽器の世界ではほとんど見られ無いので、一般の方が本物=本格的なヴァイオリンを見たり、触れたりする機会はなかなか無いかもしれません。
ですから、業者と良好な関係を築き、店には簡単には出さないような、限られた人にしか見せないようないわば秘蔵の楽器を見せてもらえるようになるのが理想ですね。
それにはあまり色々な店に顔を出すのではなく、これはと思える店を見つけたら、とことん通ってみるというのも一つの手なのかもしれません。
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