2.そもそも防音室とは?
ショールーム訪問、プランの作成、業者の決定などについては後述するとして、そもそも防音室とはどういうもの、あるいはどうあらねばならないのか?
見積もりを通して色々な業者と接触するなかで、それがだんだん見えてきた。
防音室の構造は、簡単に言うと、上の図のように部屋の中にもう一つ部屋があって、それが建物の躯体から浮いた状態になっているものだと言えよう。 正確に言うと、床は防振ゴムによって浮かされているが、天井は建物の躯体からやはり防振ゴムを介し、吊られるような構造となっている。
マンション等のコンクリートの躯体へ音が伝わると上下左右の部屋のみならず、建物全体へと音が伝わってしまうので、完全な浮き構造を作らないとまずいのだそうだ。
浮いているというと何か軽いもののように思えるが、実は相当な重量で、6畳程度の防音室でも重さが約2tにも及ぶのだそうだ。
だから一戸建ての二階に防音室を作るのは耐震上難しいのだとか。
上記の図の「浮き遮音層」という部分がまさに防音室となる部分で、ここの重量や厚みにより、音の遮断を実現する。
ただ、その重量だけで理想的な遮音を実現しようとすると、かなりの重量、厚みが必要となり、いくら鉄筋マンションであったとしても現実的ではないので、それプラス空気層を設けて遮音効果を高める構造となっている。 これも単なる空気層だと、太鼓現象というのだそうだが、ある周波数で大きく共鳴を起こしてしまい、かえって遮音効果を低下させるので、空気層部分には必ずグラスウールなどの吸音材を充填するそうである。
こうやって見てみると、素人が防振ゴムやじゅうたん、カーテン等でやろうと考える部分的な防音対策がいかに子供だましのようなものかがわかるだろう。
ある業者さんによると、ある部分だけをいくら防音しても、どこかに音の逃げ道があると、結局音はそこに集中し出て行ってしまうので、そのような対策は費用対効果が極めて低くなってしまうとのことであった。なるほど、なるほど。
マンションなので、床、壁が厚いだろうから、せいぜい二重窓にでもしておけば大丈夫かとも私自身考えていたのだが、夜間の音出しを考えるとそれはちょっと甘い考えだとわかった。
また、どの業者もピアノを入れるとなると一層慎重である。
当方ヴァイオリンがメインではあるが、一応アップライトピアノも入れ、場合によっては使用することもあると各業者には伝えていたのだが、たとえアップライトであってもピアノを入れるとなると、どうしても床の構造は簡略化したものにはできないようで、きちんとした厚みを持った床を作らないといけないということである。これは中途半端な防音工事やもっときちんとやっておけば良かったと後悔するような防音工事ほどお金が無駄になるものはないからである。
もちろん、家の構造がマンション等ではなく一軒家であれば、躯体を伝わって隣戸へ音が伝播することは無い(自分の家の中の問題だけ)ので、部分的な防音でも効果があることはあるだろう。であるから、当レポートはあくまでもマンション等の建造物の場合としてお読みいただきたい。