3.ショールーム訪問(1)
飛ばしてしまったショールーム訪問についてレポートしておこう。
まずは沿線にある、MC社のショールームを訪問。ここは実際にマンション内に防音室を作り、それをショールームとして開放しているのでこれからマンション内に防音室を作ろうという側からはとても臨場感がある。
ショールームとして用意されているのは、6畳ぐらいの部屋と15畳ぐらいの部屋で、6畳の方がキャビンと呼ばれる組み立て式の防音室、15畳の方がビルトインという自由設計型の防音室となっている。組み立て型と言っても、梁やドア、窓の形状にぴったり合わせることができるので、無駄なスペースは出ない。当方が考えるのはこちらのキャビン型というプランの方(ビルトインタイプはお値段が高い)
予め採寸して作ったパネルをはめ込んで作っていくだけなので工期は2、3日と驚くほど短期間。
また転居の際はパネルをはずして引越し、再組み立てが可能なのだそうだ。(もちろん部屋の広さ、形が違えば修正は必要)
賃貸で防音室を作りたい、しかし箱型だと無駄なスペースができてしまうという方には本当に有り難い仕様であろう。
こちらのショールームは予約制なので、じっくりと見ることができる。また営業の方の応対もどんな質問にも即座にかつ的確に答えてくれて信頼感が高い。
次にはコンサートを聴きに王子ホールへ行ったついでに大手Y社のショールームへ。ここは総合楽器店舗の中にあるので、次から次へとお客さんが防音室を覗いていく。やはり宣伝の効果かこの会社の防音室の認知度は高いようだ。じっくりと見るには落ち着かないけれど、冷やかしには最適かもしれない。
ユニット(箱)型のタイプでなければ、ご希望に合わせて如何様にでもすることができますとスタッフの人は言っていたが、ショールームの仕様でのお値段を聞いても「高っ!」という感じなので、自由にあれもこれもとオーダーしたらいったいいくらかかるのやら・・・
ブランドとは言え、こちらはお値段でまず却下かなというところ。防音性能も単体でD-35が標準ということで、その割には随分と値段がお高い印象である。
このY社の最大の特色はドアであろう。 もちろん防音ドアなのだが、そのドアハンドルは前に見たMC社のものに比べると小型で軽く、閉めるときはハンドルを使わずにただドアを押すだけで良いというもの。(ハンドルで閉めるとかえってきちんと閉まらない)
これは 拍子抜けするぐらい力がいらない。しかし正直これで本当に閉まっているのか?防音大丈夫なのか?という不安は残る。
担当の方に聞くと、Y社の防音室はピアノ教室等で使われることが多く、小さい子にとっては本格的な防音室のハンドルでは重く、また指を挟む危険などがあるからこのような仕様にしているとのこと。自慢の製品のようである。
これはMC社のまるでスタジオ然とした本格的なドアハンドルとはまるで対照的である。防音の信頼性という点ではMC社のドアだが、ごついといえばごつい。その点Y社のは普通のドアみたいである。でも、押すだけで閉まるというのも慣れの問題かもしれないがかえって戸惑うものである。
窓の防音はいわゆる既存の窓枠に内窓をはめ込む二重窓がやはり王道。一枚の窓では、どうガラスを厚くしても遮音に無理がある。
MC社はここでも重装備で、既存の窓に二重窓をプラスする三重窓を採用していた。しかも、ガラスには樹脂を挟み込んだ合わせガラスを使用。この手のガラスはもともと自動車用、住宅の防犯用として使われだしたそうだが、樹脂の挟み込みが高音域の減衰に大きな効果を発揮することが判明し、防音ガラスとして商品化されたということである。 これはMC社のショールームがマンションの共用廊下に面していることもあり、出来る限りの遮音を考えての重装備仕様であるということだ。
実際に外で音を聴かせてもらってみると、二重窓でもかなりの効果はあるが、三重窓になると全く音が聴こえないレベルの遮音が実現できることが実感できた。
実際新居となるマンションも共用廊下に面した部屋に防音室を作るというこれと全く同じ状況にあるのでこの体験は大変参考になった。
どちらのショールームでも、ピアノではなく弦楽器が主体というと、床はフローリングで壁はクロス張りを勧められた。 ピアノ(特にグランドピアノを入れて大音量で弾く等)の場合は、あまり部屋が響くとうるさく感じるので、床もじゅうたん、壁や天井も吸音材を使ったりするそうである。
防音室ということで遮音ばかりに気を取られるのではなく、心地よく弾くための部屋の響き(音響特性)も考えなくてはいけないと痛感する。