ヴァイオリンとピアノための二重協奏曲 ニ短調
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
ヴァイオリン:ギドン・クレーメル ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
オルフェウス室内管弦楽団 録音:1988年5月
「こんな曲聴いたことないよ」知らないでこのCDを買ってしまわれたらびっくりされるかもしれません。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と言えば誰でもいわゆる“メンコン”のあの有名な冒頭の旋律を思い浮かべますが、ここで紹介いたしますものはそれではありません。あちらはホ短調。これはニ短調の協奏曲なのです。
このニ短調のヴァイオリン協奏曲はメンデルスゾーンわずか13歳の時の作品。1951年にメニューインがイギリスで発見したという代物です。
おそらくサロン・コンサートでの演奏を目的に書かれたのではないかと言われているものですが、曲の内容はメンデルスゾーンの早熟さを証明するのに充分なものとなっております。実にチャーミングな佳品です。
ここでのクレーメルの演奏は溌剌としながらも繊細で美しいものです。生き生きとしたリズム、瑞々しい音色はまさにこの曲の雰囲気にぴったりと言えるでしょう。クレーメルは弾いている姿(顔)を見ずに音だけを聴くに限りますね(失礼!)。
このCDではもう一つの秘曲、上記のヴァイオリン協奏曲の1年後に書かれたヴァイオリンとピアノための二重協奏曲 ニ短調をカップリングしております。この曲の共演者のピアノのアルゲリッチがまた凄い演奏をしております。クレーメルとまさに丁々発止の世界が繰り広げられております。
この二人だったからこの曲の魅力を引き出すことができたとも言えるのかもしれません。
自由闊達なソリストに一分の隙もなく伴奏をつけているオルフェウス室内管弦楽団のバックも実に見事なものです。指揮者は要らないってことですね。誰かが、下手なオケは無い、下手な指揮者がいるだけだと言ったとか・・・本当にその通りです。