claves /50-2507
ダニエル・レーン ヴァイオリン小品集
シンディング:組曲イ短調Op.10
シューベルト:幻想曲ハ長調D.934
ブラームス(クライスラー編):ハンガリー舞曲17番
ポンセ(ハイフェッツ編):エストレリータ
フォスター(ハイフェッツ編):金髪のジェニー
ドビュッシー(レーン編):小組曲~メヌエット
モシュコフスキ(サラサーテ編):ギターレ
パガニーニ(プシホダ編):パイジエルロの「うつろな心」による序奏と変奏曲
ワックスマン:カルメン幻想曲
ヴァイオリン:ダニエル・レーン ピアノ:ミラーナ・チェルニャフスカ
録音:2002年3月
使用楽器はシカゴのストラディヴァリ・ソサエティから貸与された
1617年A & H.Amati “Ex Lobkowicz”
以前、アナ・チュマチェンコクラスのヴァイオリニストでこのダニエル・レーンの演奏については少し触れたことがありました。そのときは、モーツァルトの協奏曲でしたが、このCDでは技巧的な曲から洒落た小品までヴァラエティに富んだ曲の数々をたっぷりと聴くことができました。
以前のブログでも書きましたが、このダニエル・レーンは1979年生まれ。父親がアンドレアス・レーン(バイエルン放送響コンマス)、祖父がエーリッヒ・レーン(フルトヴェングラー時代のベルリンフィル・コンマス)というサラブレッドなのです。
レーンの演奏は、どんなに技巧的に困難な箇所になろうとも弾き方が荒くなって音がつぶれたり、不鮮明に聴こえたりすることがありません。技巧的な曲では鉄壁な技巧を駆使し、どこまでも曲の細部が見通せるような演奏を披露。
今さらなのですが、このCDを聴いて初めてワックスマンのカルメンの終結部の音の配列がわかりました。大抵はガーッと押し切られてしまって、いったいどんな音だったのか、果たして正しい音程だったのかがわからずに曲が終わってしまっていますから・・・
一方、エストレリータや金髪のジェニーのような小品ではまるで一昔前の巨匠のようなポルタメントやヴィブラートを使い、どこか懐かしいヴァイオリンの音を奏でます。この二面性が彼の大きな魅力でしょう。
まだ日本では全くと言って良いほど有名でないと思うのですが、私としては是非生で聴いてみたいヴァイオリニストですね。
使用楽器は、シカゴのストラディヴァリ・ソサエティから貸与されたA & H.Amati 1617“Ex Lobkowicz” ということですが、実にクリアで力強い音ですね。やや近接した録音が、演奏、楽器の特徴を良くとらえていると思います。