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高橋 博志 著|バイオリンの謎-迷宮への誘い

バイオリンの謎    高橋 博志著

バイオリンの謎    高橋 博志著

第1章 「名器」とはなにか?
第2章 謎に包まれたストラディヴァリの生涯
第3章 バイオリンの歴史は謎ばかり
第4章 名バイオリニストと大作曲家をめぐるミステリー

ヤマハミュージックメディア
ISBN978-4-636-87541-6

今回は書籍についてです。「バイオリンの謎」というタイトル、そして篠崎史紀氏の推薦文がそそりますね。
第2章~第4章は正確な史実に基づく話ばかりではなく、逸話、言い伝えのようなものも多く含まれていますが、読み物としては楽しく読むことができます。
なかでも、クライスラーが泥棒呼ばわりされたという話は彼流のジョークにしても傑作ですね。

でもこの本の中で最も興味深いと私が感じるのは第1章です。
目次から引用いたしますと

・名器とは音がよい楽器のことではない?
・名器とは必ずしも弾きやすい楽器ではない?
・古くなければ名器ではない?
・名器のコピーでも名工が作れば名器になる?
・音は聴けなくても名器は名器?

というような見出しになっています。

これを見ただけで、もう読みたくなってきてはいませんか?

私からすると、それはちょっと違うのではと思うような内容も無くはありませんが、ここはまるで自分で書いたみたいだと思えるぐらい考え方が一致しているところもありました。
ともかくこれから楽器を購入しようという方、ヴァイオリンについて調べたいという方は読んでおいて損は無いのではないでしょうか。
ヴァイオリンを考えるときは手工芸品、古美術品としてのヴァイオリン、楽器(道具)としてのヴァイオリンと二つの側面から捉えなくてはいけないと思います。そこが絵画等と違うところです。
だから、音だけで判断する、値段や鑑定書だけで判断するというやり方では片手落ちなのです。
確かに古美術品としての名器はおいそれとは手の届かないところにあるのかもしれませんが、道具としての名器は意外と身近な存在なのですよ。