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アレクサンダー・ギルマン|バーバー&コルンゴルド ヴァイオリン協奏曲

Gilman01

OEHMS / OC 799
バーバー/コルンゴルド ヴァイオリン協奏曲

バーバー:ヴァイオリン協奏曲
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ワックスマン:カルメン・ファンタジー
ウィリアムズ:「シンドラーのリスト」メイン・テーマ

ヴァイオリン:アレクサンダー・ギルマン
ペリー・ソー指揮:ケープタウン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2010年 12月

バーバーやコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲は音大、音高の卒業試験、自由曲で受けられるコンクール等で随分と弾かれるようになってきましたね。ですから、すでにどこかで耳にされたことがあるかもしれません。もっともそういった場ではたいてい第1楽章しか弾かれないので、そこで聴いただけでは曲全体を把握はできません。弾いている人すら、1楽章だけさらって済ませてしまうことも少なくないのではないでしょうか。でも全体がわかっていなければ単一の楽章の位置づけが理解できるはずはありません。
例えばバーバーの終楽章が一気呵成に猛スピード突っ走り、あっという間(3、4分)に終わってしまうことやコルンゴルドの終楽章がまるでディズニー音楽のようなカラフルな音の洪水に包まれることを知らないで済ませてはいけないと思います。

演奏者のアレクダンダー・ギルマンは1982年、ドイツ、バンベルクロシア系音楽一家に生まれ、名教師ザハール・ブロンに師事、チューリヒ音楽大学で修士号を取得、現在はブロンのアシスタントとして活躍しています。

使用楽器についてはCDの帯(タスキ?)には2006年からは、フランク・ペーター・ツィンマーマンが所有していたヴァイオリン、Stradivari 1684“ex Croall” を使っている旨の記述がありますが、ライナーノーツ(英文)を読みますと、その後2008年にドイツの音楽財団からJ.B.Guadagnini(1761)を貸与され、現在はそれを使用しているとの記述があります。
このレコーディングは時期からするとGudagniniということになりますが、CDの帯を信じるならStradivariということになり、いったいどっちなの?と言いたくなります。

StradivariかGudagniniかわからないにしても、CDからはとにかく素晴らしいヴァイオリンの音を聴くことができます。
ややオーケストラが強奏時混濁気味になるのが残念ですが、音の伸び、切れ味などヴァイオリンソロの音に関しては文句の無い録音だと思います。艶のあるヴァイオリンの音が眼前にくり広げられます。

演奏は、エキセントリックなところが全くない滑らかなもので、この二つのロマンティックな協奏曲を夢見るような心地よさで聴かせてくれます。
またワックスマンの技巧的な曲に於いても、今さらながらこの曲がオペラを題材にした曲であったことを思い出させてくれます。軽業師のように早く弾き、ただ技巧をひけらかすのではなく、歌手が歌うかのようにカルメンの旋律を奏でてくれるのです。もちろん、確実なテクニックがあってこそこのようなことが可能になるわけですが、それが前面に出てこないところが素晴らしいと思います。