CDS-115
カミッロ・シヴォリ作品集
歌劇「仮面舞踏会」の主題による幻想曲
2つの無言歌
アンダンテ・アモローゾ
歌劇「イル・トロヴァトーレ」の主題による幻想曲
音楽の夕べ(ロッシーニ)による編曲作品
オベロン(ウェーバー)による編曲作品
タランテラ
ヴァイオリン:ブルーノ・ピニャータ ピアノ:フランコ・ジャコサ
チェロ:リッカルド・アゴスティ
録音:1994年1月
カミッロ・シヴォリ(1815-1894)はパガニーニ唯一の弟子と言われるヴァイオリニスト、作曲家です。このCDはそのシヴォリの作品を収録したものです。
さすがに弟子だけあって、パガニーニ風の旋律が繰り広げられますが、はっきり申し上げて、パガニーニほどの才気は感じられず、二番煎じの感はぬぐえません。
ヴァイオリンの超絶技巧をこれでもかと見せつけてくれるのがパガニーニだと思うのですが、シヴォリの作品はちょっと大人しく、小さくまとまってしまっています。
ところで、パガニーニと言えば、Guarneri del Gesu“Il Canone” いわゆるカノン砲を弾いていたことで有名ですが、あるときJ.B.ヴィヨームにそのdel Gesuの修理を依頼したところ、ヴィヨームはその修理期間中に何とそのカノン砲のレプリカを作り上げてしまったそうです。そうしてそのレプリカとカノン砲の2台をパガニーニに掲げて見せたところ、パガニーニはレプリカの方を最初に手に取ったとか・・・
これは有名な逸話ですが、それほどまでにヴィヨームの技術は素晴らしく、そして製作スピードも早かったのでしょうか?
実際は、どんなに似た木目の材料を探せても、裏板の杢が全く一致することは無いですし、ニス塗りたての状態のヴァイオリンを見れば、その質感や匂いなどから、出来立てであることはすぐにわかってしまうはずです。ですから見分けはすぐにつくはずなのです。したがいまして、これは全くの作り話であろうというのが定説になっています。
ただ、このヴィヨームの作ったレプリカヴァイオリンは後にこの弟子シヴォリの手に渡り、現在はオリジナルのカノン砲と一緒に、仲良くジェノヴァの市庁舎に陳列されているのだとか。でもそのヴァイオリンを見て来た人によると「似てねー」のだそうです。
残念ながら私はジェノヴァの市庁舎に行ったことが無いので、私の眼でそれを確かめられたわけではないのですが、幸運なことに、右の画像の書籍『Originali ,Modelli e Copie』(Guarneri del Gesu 1742 カノン砲のオリジナルとそのコピーやモデルのヴァイオリンの写真を集めたもの)でその楽器“J.B.Vuillaume 1834 ”の姿を見ることはできます。
確かに素晴らしく良くできたヴァイオリンではありますが、全くそっくりということはありません。いくらなんでもこれを間違えるはずはありません。
でも、本当はもう一台、ヴィヨームによるGuarneri del Gesu カノン砲の精巧なコピーがあって、それがどこかに存在していたとしたらどうでしょう・・・・
まるでミステリーですが、真実はタイムマシンにでも乗って確かめに行かなければわかりませんね。