PCDZ-1545(現在はSONARE 1009で再発)
ブラームス:
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 『雨の歌』
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調
ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調
F.A.E.ソナタ~第3楽章『スケルツォ』 WoO.2
ヴァイオリン:藤原浜雄 ピアノ:三上桂子
録音:1997年6月
録音に使用した楽器:Stradivari 1708 “Huggins”(日本音楽財団所有)
コンマス、ソロシリーズ、本日は読響のソロ・コンサートマスターの藤原浜雄です。と、ここまで書いて読響のHPを見たところ現在彼の名前はありません。(2012年3月末に退団したようです。)
藤原浜雄は1967年日本音楽コンクール第1位。1968年パガニーニ国際コンクール第2位。1971年エリザベート王妃国際コンクール第3位。と目覚ましいコンクール歴を持ち、ジュリアード音楽院卒業後はジュリアード音楽院教授として後進の指導にも当たっていました。
1992年に日本に帰国し、読売日本交響楽団のコンサートマスターに就任しますが、ソリストというイメージが強かっただけにちょっと意外な気がいたしました。
とにかく何でもバリバリ弾きまくるというのが彼のヴァイオリンの演奏スタイルではないでしょうか。以前、生でサラサーテのカルメン幻想曲を聴いたことがありますが、それは凄まじい迫力でした。ただ、そういった、いつでも熱い弾き方なので、曲によってはロマンの香りが多少足りなく感じることも事実ですね。
このCDのブラームスなどですと、その傾向はやはり見られます。例えば木漏れ日が射しているような淡い光の中でうたた寝をしているような雰囲気が漂う緩徐楽章においても、藤原の場合はひと時もまどろむ暇はなく、いつでも眼ぱっちりといったブラームスになっているのです。ですから、3曲のソナタの中では第3番が一番彼の芸風にぴったりしているのではないかと思います。終楽章など彼の張り切りぶりが目に浮かぶようです。
ひょっとしてこのいつも力を抜かない演奏スタイルはオケの頭、コンサートマスターとしては必須だったのかもしれませんね。こんなに頑張って弾いてみせてくれたら、後ろの人間が手抜きして弾くわけにはいきませんから。