UCBD-1105
ユリア・フィッシャー
ヴァイオリンとピアノ・・・一晩で2つの楽器のソロを務めた奇跡のコンサート
サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第3番
グリーグ ピアノ協奏曲
ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 マティアス・ピンチャー
天は二物を与えずと言いますが、このユリア・フィッシャーの場合はそれが全く当てはまりませんね。
美貌の女性として、類稀な技巧と豊かな音楽性を持つヴァイオリニストとして。それだけでも充分すぎるくらい充分なのに、それに加え、一晩の間にピアニストとしても演奏会場でコンチェルトを披露してしまったというのですから出来過ぎです。神様は何と不公平なのでしょう。
でもさすがに本業の他にピアノの練習時間をきちんと取るのは相当大変だったようです。体力的にもピアノを弾くことは負担が大きいので体を痛めないように慎重に準備したとのこと。その辺のことは40分を超えるインタビュー(特典映像)で語られています。
私のような凡人は、何もそこまで無理してまでやらなくても・・・と考えてしまいますが、そこは「できる」人と凡人との違い。グリーグはヴァイオリン協奏曲を書いていないから、楽器を替えることで協奏曲が弾けて幸せだと彼女はさらっと言ってのけます。純粋に音楽家として弾きたいから、曲が好きだから、
やってみたかったということなのでしょう。困難を困難と思わずにそれを楽しめてしまうところが、「できる」人の「できる」所以なのですね。
演奏は自由闊達なサンサーンスのヴァイオリン協奏曲に比べれば、グリーグは表現にやや固さが残ります。おそらく本業ではないが故にピアノは慎重に丁寧に弾こうとした結果なのでしょう。でもこれだけ弾ければピアニストとしても相当なものです。
使用楽器はJ.B.グァダニーニ 1750年。(以前は日本音楽財団から貸与されたヴァイオリン、1716年作のストラディヴァリ“Booth” を使用していたこともあるとのこと)