FARAO / B 108034
R.シュトラウス: ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18
プフィッツナー: ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 Op.27
ヴァイオリン:マルクス・ヴォルフ ピアノ:ユリアン・リーム
録音:2005年 7月
使用楽器:Stradivari 1722 “Vollrath”(バイエルン州立銀行より貸与)
コンマス、ソロシリーズ今回はドイツ、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場管弦楽団の第1コンサートマスターマルクス・ヴォルフのCDです。
ヴァイオリンリサイタルのメインというとフランクのソナタがこれまでは定番でしたが、最近ではR.シュトラウスのソナタが弾かれることが多くなってきましたね。華やかで聴き映えがする曲なので、リサイタルのメインディッシュには相応しい曲だと思います。
この2曲は実は作曲年代が接近していまして、フランクのソナタが1886年、シュトラウスのソナタが1887-88年の作になります。でもシュトラウスは23歳のとき、フランクは64歳のときですから、若書きと円熟の境地の差はありますね。
マルクス・ヴォルフは1962年ウィーン生まれ。ウィーン音楽院で学び、ギュンター・ピヒラー、マックス・ロスタル、ナタン・ミルシテイン、オスカー・シュムスキーに師事しました。その後ウィーン交響楽団を経て、1989年バイエルン国立歌劇場管弦楽団第1コンサートマスターに就任しました。1981年に”ウィーン・ベートーヴェン・トリオ”を結成。この団体によるCD録音が多数あります。
演奏は神経質なところの全くない肉厚の響きで、ドイツ音楽はこうあって欲しいというイメージ通りの音ですね。華麗さと甘美さを併せ持つ好演だと思います。音に厚みはありますが、それが決して粘っぽく、脂っぽくなり過ぎないところはさすが本場の演奏家ならではだと思います。
このR.シュトラウスのヴァイオリンソナタは彼のオペラにも通じる豪華絢爛さがあると思うのですが、バイエルン国立歌劇場はもちろんリヒャルトのオペラはお手の物でしょうからヴォルフの演奏がハマっているのもうなずけます。
またこのソナタ、ピアノパートが凄く難しいことでも有名ですが、共演のユリアン・リームが素晴らしいサポートぶりを見せてくれています。本当にソナタはピアニストの作り出す音楽、響きで決まってしまいますからね。
このCD、プフィッツナーのヴァイオリン・ソナタがカップリングされているのもライブラリーとして大変貴重です。この曲の第2楽章の息の長い歌いぶり、ピアノとヴァイオリンが織り成す分厚い響きはなかなかの聴きものです。
録音もStradivariらしい低音域の厚み、柔らかさを良く捉えたものですが、それでいて音の抜けが悪くはならず、高域の粒立ちの良さ、華やかさも充分に感じられます。