オーケストラがやって来た (山本直純)DVD-BOX
TCED-2024
オーケストラがやって来た DVD-BOX
Disc1:
・第一楽章 山本直純編~ヒゲの超人 響いた、跳んだ!~
山本直純の名シーンを中心に収録(約120分)
Disc2:
・第二楽章 小澤征爾編~音楽は神さまの贈りもの~
小澤征爾の名シーンを中心に収録 (約120分)
Dics3
・第三楽章 名演奏・名企画編~素晴らしき哉、オーケストラ~
番組でも指折りの名演奏、名企画を長尺で収録(約120分)
Disc4:
・第四楽章 夢の共演オンパレード~泣いて笑って心に刻んだ~
様々なゲストの登場シーンを中心に収録(約120分)
これは、山本直純の司会で、1972年から1983年まで11年間に渡りTV放映された「オーケストラがやって来た」(全544回)の名場面を集めたDVD-BOX (分売もしています)です。
毎週日曜日、楽しみにこの番組を見ていたので、このDVDセット大変懐かしく視聴しました。
と言いますと歳がバレますが、HDDやDVDはもちろんのこと、ビデオデッキすら家庭になかった時代、本当にその時間にテレビの前にかじりついて一所懸命視ていたのだと思います。
お恥ずかしいことに、私はしばらくの間、冒頭のテーマ音楽は、この番組のオリジナルと勘違いしておりました。
ウィーンフィルがカール・ベームと来日した時に、アンコールを演奏したのですが、その時、なんと『オーケストラがやって来た』のテーマ音楽が流れたのですね。もちろんそのはずはなく、それはヨハン・シュトラウスの『常動曲』という曲でした。(ベームが曲を止める時に「いつまでも」と日本語で言ったのを今でも覚えています。)つまりそのとき、真実をやっと知ったのです。
でも今このテーマ音楽を聴き直してみると、楽器紹介も兼ねており、最後は「オーケストラがやって来た」と会場全員で合唱するのですが、実にうまく編曲されていますね。改めて山本直純という人は天才だったと思います。
山本直純と言えば、私の年代の方は「大きいことはいいことだ」という森永エールチョコレートのCMをご記憶のことと思います。若い人には何それ?と思われると思いますが、映画「寅さん」シリーズの音楽を手掛けた作曲家だと言えば少しはわかっていただけるでしょうか。
この番組の凄かったところは、山本直純の友人である小沢征爾が相当関わっていたということ、そしてその人脈を生かして、外国からもヴァイオリンのアイザック・スターン、イツァーク・パールマン、ピアノのエッシェンバッハなどの大物演奏家も番組に呼んだということでしょう。
その他、ゲストの数をあげれば枚挙にいとまがありませんが、弦楽器関係だけでも、千住真理子、江藤俊哉、徳永二男、堀米ゆず子、数住岸子、堤剛、藤原真理、倉田澄子、そして海外からは、先に挙げたスターン、パールマン、シルバースタインなど実に豪華です。
もちろん、お茶の間へのクラシック音楽の啓蒙もこの番組の狙いでしたので、森進一、五木ひろし、都はるみ、石川さゆりなどの演歌歌手などもゲストとして出演していました。
544回の放送どれも力作ぞろいだったと思います。それをたった4枚のDVDにまとめるのは至難の業だったと思いますが、今またその抜粋だけでも視られるのは大変幸せに思いました。
なかでも印象的だったのは、アイザック・スターンのブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番、イツァーク・パールマンのサン=サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ。まさに入魂の演奏と言えるでしょう。
また、小澤征爾が数住岸子、藤原真理を前にブラームスのドッペルコンチェルトのリハーサルを入念に行う場面。斉藤秀雄の言葉を引用して、ブラームスの音楽の神髄を語るところなど、演奏者の音楽に対する真摯な姿勢を視ることができます。その他、15歳の千住真理子と師匠 江藤俊哉の共演のようなお宝映像もあります。
とにかく、昔この番組を視ていた人は間違いなく楽しんで視ることができると思います。しかし、この番組を知らない若い世代の方が今視られたら、番組の内容の水準の高さにきっと驚かれるのではないかと思います。いつの世代の人間が見ても、きっと山本直純の発想力、企画力に感服されられると思うのです。