インテルメッツォの第20回です。
今回も引き続き、よくある3つの行為(相談、研究、比較)の誤り について、私の独断と偏見を展開していきたいと思います。
前回は、相談相手として
1)ヴァイオリンの先生
2)学校の先輩
3)最近楽器を購入した仲間
4)楽器店の人間
があることを述べました。
そして、1)の先生については、 必ずしも、楽器演奏の専門家が楽器選定においても専門家であるという保障はないこと、楽器が上手く弾けるからといって楽器そのもについてわかるという保障はないことを申し上げました。
今回は2)と3)について検証して参りましょう。
2)先輩が相談相手として選ばれる理由は、 前回も述べましたように、 自分よりも経験、演奏技術において勝っている という理由からです。
しかし、やはり楽器選定の経験、能力においては、1)ヴァイオリンの先生 について述べたことがそのままあてはまります。
演奏のキャリアがそのまま楽器を正しく選べることにはつながらないのです。 弾けるから選べるとは言えないのです。 また、弾ける人ほど、どんな楽器でも弾きこなしてしまう (どんな楽器でも鳴らしてしまう)傾向があります。 そうすると、出ている音はその人の音であって、楽器本来の音が 判断しにくくなります。
そのうえ、学校の先輩、そして次にお話しする3)仲間の場合はまずいことがあります。
それは、人の楽器選びに付き合うことほど楽しいものはない。ということです。
弦楽器専門店というところの多くは、 どう見ても、ひやかしで行ける雰囲気にはありません。 心臓に毛が生えている人でない限りは、買う気が全く無いのに何台もの楽器を弾き比べられるものではないでしょう。
それが、後輩、友人の楽器選びという大義名分があれば、 堂々と何台もの楽器に触れられるのです。
楽器が沢山見られる、しかし、自分はそれらを買わなくて良いし後輩に薦めた楽器に責任を持たなくても良い。
心理的にも楽だし、楽器は色々見られる。 こんなに面白いことは滅多にありません。
ですから、他人の楽器選び(に同行)というのは 楽器好きにとってはたまらないのです。
言ってみればあなたはダシに使われているだけかもしれないのです。
もちろん、親切心で付いて来てくれる先輩もいらっしゃるでしょうし、 楽器に詳しい人も中にはいるでしょう。
ですから全てそうだと言い切ることはできませんが、上記のようなこともあると、その可能性を考えに入れておいても良いと思います。
次回は3)仲間に相談すること、について述べたいと思います。
次の更新は月末ごろを予定しております。 どうぞご期待ください。