オマージュ (12の世界的銘器へのトリビュート) ジェームズ・エーネス
(ONYX 4038) オープン価格
これはすごいCDが出たものだ。
歴史的銘器を12台も弾き分け(ヴィオラも収録というのが珍しい!)、しかもCD収録曲全曲の映像(DVD)付き。
今さら私がご紹介するまでもなく、すでにマニアはもう手に入れていることだろう。
録音は全く文句の無いものである。
適切な距離感でヴァイオリンの音を見事に捉えている。
あまり残響が多すぎても楽器そのものの音が伝わってこないし、かと言ってマイクが近接し過ぎると音がギスギスしたり、雑音が増えたりする。 ヴァイオリンの録音は結構難しいものなのだ。この録音は本当に気持ち良く安心してヴァイオリンの音に浸ることができる。
ただ、このCDで私が最も感心したのはエーネスの演奏である。
聴いているうちに楽器の音の違い云々ではなく、私はエーネスの演奏にすっかり魅せられてしまった。
それぞれの曲の性格が見事に弾き分けられているので聴いていて全く飽きないのである。
この人には 以前から注目はしていたが、本当に上手くなったものだ。 実に味のある演奏である。
どんな細かい音符も決して弾き飛ばすことなく、落ち着いたテンポで丁寧に 弾いている。往年の巨匠を思わせるこの弾きっぷりは最近の若手には珍しいのではないだろうか。
先に書いたように、CD収録曲の演奏が映像として全てDVDに入っているので学習用としても最適である。
これは楽器マニアならずとも是非聴いて、観ていただきたいディスクである。
ジェームズ・エーネス(Vn、Va)
エドゥアルド・ローレル(Pf)
【輸入元 東京エムプラスの宣伝文】
2008年度のグラミー賞&グラモフォン賞の栄誉に輝き、欧米のメディアからは「地球上に存在する4~5人の完璧なヴァイオリン奏者の1人」、「エーネスこそハイフェッツ、メニューイン、オイストラフ、スターン、そしてミルシテインの後継者に相応しい」と激賞されるなど、巨匠への道を確実に歩むカナダのヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネス。
飛躍を続けるエーネスの新たなプロジェクトは、「12の世界的銘器」とのコラボレーション。
このプロジェクトは、世界有数の弦楽器コレクターとしてその名を知られ、シカゴ大学交響楽団のコンサートマスターとしての経歴も持つデイヴィッド・フルトンが所有する世界的銘器、すなわち「フルトン・コレクション」を1枚のディスクの中で弾き分けるという画期的でゴージャスなリサイタル・プログラムなのです!
それぞれの楽器が持つ音色の魅力を最大限に活かすことの出来る作品を選りすぐったエーネスがストラディヴァリやグァルネリなど9種類のヴァイオリン、グァダニーニなど3種類のヴィオラと共に繰り広げるリサイタルはまさに至福の一時。ボーナス・トラックとして収録されている9種類のヴァイオリンで弾き比べた『スコットランド幻想曲』、3種類のヴィオラで弾き比べた『イタリアのハロルド』では、それぞれの楽器が持つ音色を同じフレーズで聴き比べることが出来るようになっており、長い年月によって育まれた銘器の特色を存分に味わえます。
また約100分収録のDVD-Videoには、楽器を中心としたアングルでのCD収録曲全曲の演奏と解説、エーネスのインタビュー、デイヴィッド・フルトンのインタビュー、12の世界的銘器の詳細映像(クローズアップ映像)などが収められており、「フルトン・コレクション」の現在を伝える貴重な記録に仕上がっています。 (東京エムプラス)