バルトーク無伴奏 ヴァイオリンソナタ (NAXOS 8.550868)
演奏 ヴァイオリン ジョルジ・パウク
ジョルジ・パウク。どこかで名前ぐらいは聞いたことはある。
ロンドン王立音楽院で教えているらしいとか、沢 和樹氏 他 日本人も最近、師事しているらしいとか、断片的な知識である。
もちろん実演に接したことはないし、CDも聞いたことはない。
そんな状況でこのCDを買った。直接の動機は、はっきり言って価格である。
980円ならば、ちょっと買って聴いてみてたとえ気に入らなかったとしても惜しい金額ではないと。
ところがである。
最初の数小節を聴いただけで私はこの演奏に引き込まれてしまった。
正直に言うと、演奏という以前に音そのものに魅了されたと言うべきであろう。
こんな充実した音を最近のデジタル録音で聴いたことはない。
録音(マイクセッティング、会場のアコースティック)が良いのも要因かもしれないが、とにかく楽器が鳴り切っている。
並の楽器ではあるまい。そう思ってCDの解説を見ると、使用楽器はアントニオ・ストラディヴァリ 1714年製 “Massart”とある。
数あるストラドの中でも相当状態の良いものに違いない。
1936年ブタペスト生まれ。1956年パガニーニ、1957年ミュンヘン(デュオ部門)、1959年ロン=ティボーの各国際コンクールで優勝という輝かしい経歴の持主である。
名手と名器の幸せな出会いと言えよう。
同じNAXOSレーベルからバルトークのヴァイオリンソナタ1.2番(8.550749),そして同じくバルトークの狂詩曲2曲(8.550886),HUNGAROTONからはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集(HCD31030~32)も出ている。どれも素晴らしい演奏である。