マエストロになりたい
-イタリアで修業する日本の若者たち-
イタリア・ヴァイオリン職人の裏事情に迫る!
水沢 透 著 東京書籍 1,800円
マエストロ(職人の親方)を目指しイタリアに渡った日本の若者たちを描いた本である。
何となく「勘」がはたらいて書店でこの本を手にした。
勘は的中していた。
果たして目次をめくると、イタリア料理、アンテイーク家具修復絵画修復などの項目が並ぶ中、最後に「バイオリン製作」という項があるではないか!さすがイタリア!職人の中にヴァイオリン職人を忘れてはいない。 私は興奮して、ろくに内容も見ずに買ってきてしまった。
この中で、クレモナで現在修業中の長野太郎さん(26歳)はこう語る。
「とにかく、時間の流れ方がすごくゆっくりなんですよね。でも、一般的な情報とか、生活の中での刺激が少ない代わり、バイオリンに関する情報とか、楽器作りに関して周囲から受ける刺激みたいなものが、この街には他のどこよりもたくさんあるんです。」
ヴァイオリンの「聖地」にはやはり、製作者を惹きつけるものがあるのだ。
その他、この本にはイタリアの職人の気質や、製作学校の様子、また、新作ヴァイオリンの現地での取り引き価格など、実に興味深い内容が描かれている。
イタリア新作ヴァイオリンの製作(裏?)事情を知りたい方は必見の書である。