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新製品インフェルト(Infeld)はドミナントを超えたか?

かそれが問題だ。

セール終了いたしました。沢山の方のご購入ありがとうございました。

ドミナントのトマスティーク社からヴァイオリン弦の新製品インフェルトが登場。ベストセラーのドミナントとはどう違うのか興味を持たされます。
新製品はドミナントを超えることができたのでしょうか?

Dominant ドミナント

Infeld-Red インフェルト
(重厚な音色 )

Infeld-Blue インフェルト
(明活な音色 )

おなじみのDominantの弦。

テールピース側
A線が水色
D線が緑色
G線が黄色
となっています。

ペグ側の色は、弦のテンションを示しています。

Infeld-Red

テールピース側は基本的にDominantと同系色です。
良く見ると、 少し濃い目の鮮やかな色に変わっています。

A線が青色
D線が緑色
G線が黄色

Infeld-Blue

テールピース側は基本的にDominantと同系色です。
良く見ると、 少し濃い目の鮮やかな色に変わっています。

A線が青色
D線が緑色
G線が黄色

紫色 (mittel) 標準
黄色 (weich) 弱い、細い
緑色 (stark) 強い、太い

となっています。

注)この画像では、E線には
ピラストロゴールドを使用。

E線のみがテールピース側でパッケージの色を反映しています。

ペグ側ではA~G線の色が
パッケージの色を表しています。
E線はペグ側の色は両タイプとも、青です。

E線のみがテールピース側でパッケージの色を反映しています。

ペグ側ではA~G線の色が
パッケージの色を表しています。
E線はペグ側の色は両タイプとも、青です。

E: Alumi/Steel
E: Steel
A:Alumi/Nylon
D:Alumi/Nylon
D:Silver/Nylon
G;Silver/Nylon
E:Stainless Steel
Gold coating
A:Hydronalium
D:Hydronalium
G;Pure Silver
E: Carbon Steel
Tin coating
A:Hydronalium
D:Hydronalium
G;Pure Silver
DominantE線の
ボールエンド

InfeldのE線

ボールかループかもう迷うことはありません。

InfeldのE線はRed、Blueどちらも、ボールエンドとループエンドが兼用になっています。

ループエンドとして使用する場合は、このようにボールを取り外してお使い下さい。
これなら、どんなアジャスターでも大丈夫 。

今回、DOMINANTでお馴染み、THOMASTIK-INFELD社から発売になった新製品 Infeld は、従来の弦のようなテンションや材質による使い分けではなく、音色による使い分けという全く新しいコンセプトを提案しています。

さて、その赤と青の二種類の違いですが、見た目にもすぐわかるのはE線です。
赤のパッケージは金メッキ線を使用。一方青のパッケージの方は、錫のコートをしています。

メーカーの発表では、赤のパッケージの金メッキ線は 、「可能な限りの金属音を排除した明るく豊潤な音」を目指し、一方の青のパッケージ、錫メッキのシルバー線は「ブリリアントで力強い音」に設定されているということです。

A~ G線については、見た目には、二者の違いは全くわかりません。
G線については、Dominant同様シルバー巻きになっています。 A、D線はHydronaliumという合金が使用されています。 D線に対し、シルバー巻きはありません。
芯線はメーカーの発表ではコンポジット・マルチフィラメント・コアを使用しているとのこと。
何やら過湿度に対して強いということなのですが、詳細については言及されず、いわゆる企業秘密というところでしょう。

能書きはさておき、肝心の音ですが、音色は、Dominantに良く似ています。ですから基本的には明るく輝かしいトーンと言えましょう。
ただし、 赤、青どちらのタイプも弦も、Dominantで強く感じる、張ってすぐのシャリシャリ感がかなり少なく押さえられています。
また、Dominantで楽器によっては感じる、「良く鳴るのだけれど、薄っぺらい、深みが無い、味わいに乏しい 」というような不満も随分改善されています。
つまり、Dominantの音色は生かし、それよりもなめらかで厚みのある音という感じなのです。
新しい材料のせいでしょうか、弦自体の伸びも少なく、張った後の音程もDominantより早く安定しそうです。

最近の、高級弦、例えばCorelli AllianceやObligatoは、使用する楽器によっては、音の滑らかさと引き換えに、音量を犠牲にしてしまったり、音の反応を鈍らせることも少なくありません。
INFELDの場合は、これらの弦のようには音量を落とすことはありません。音の立ちあがりもDominantとほぼ同等です。G線の鳴りがかなり良いので使いやすい弦と言えましょう。

今までは、A~G線をDominantを使用しても、DominantのE線というのはあまり使われることがありませんでした。E線には、他社の弦、例えば Gold blokat や Pirastro Gold などがバランス上、好んで使用されていたのです。

ただし、今回は、 Infeld のE線を使用した方が、全体の鳴りが良いようです。
Gold blokat や Pirastro Gold を使用した場合、響きが異質になったり、響きが止まったりするような感じを受けました。
もちろんE線については色々試してみるべきだとは思いますが、現時点では、従来の感覚で、Gold blokat や Pirastro Gold を使用するよりは、 Infeld のE線をそのまま使うほうが良い結果が得られそうです。

さて、赤と青の音色の違いですが、これは思った以上に違いは出ます。
メーカーの弁では、赤のパッケージは「重厚な音色」、青のパッケージは「明活な音色」ということになっております。
もちろん、音の変化の度合いは、楽器の調整、楽器の性格、質にもよりますので 必ずしもメーカーの発表通りの結果にならない場合もあるかもしれません。しかし、いずれにしましても、この二つが、違ったキャラクターを持つ弦であるということ、それによって楽器の響き方がかなり変化するというのは事実です。

ちなみに、私の娘の楽器(Mezzano Valle)では「赤」のパッケージが、お客様の楽器 (オールド)では「青」が目の覚めるような効果をあげました。
いずれの場合も、タイプが合うと、楽器が無理無く伸び伸びと鳴ってくれるという感じになります。
これは実際にご自分の楽器でお試しいただく他はありません。
2種類を試していただくことで、どちらが楽器に合うか、ご自分のお好みか、はっきり結論が出ます。

おそらく、皆さん弦でこんなに楽器の音が変わるものなのだろうかと驚かれることと思います。
ただし、張り替えた直後は、音が変わったこと自体で何か良くなったと思いがちです。
それに、張った直後は弦も安定しておりませんので音も不安定な面があります。
数日弾きこまれて、ご自分の好まれる方向の音か、楽器に合っているかを判断なさって下さい。

InfeldはCorelli AllianceやObligatoに比べて、価格的に随分安いのも魅力的です。これならDominantと同じような感覚で気がね無く 使用することができます。

まだまだ、これからじっくりと試してみないといけませんが、今回短期間ながら、いくつかの楽器で使用してみて、Infeldは音色、使いやすさ、価格など、全てを考慮した上で、これからのスタンダードになり得る弦ではないかと実感いたしました。