第7回目も弓の話題です。
今回は弓の選び方をお話しいたしましよう。
ヴァイオリン(弦楽器)の弓を選ぶのは専門家でも難しいという意見があります。
これはある意味で正しいのですが、 ある意味では適切ではありません。
私は「難しい」といえる部分はオールドボウの真贋だけだと思います。
オールドボウは高価なものが多いので、偽物をつかまないように 慎重にということなら気持ちは良く分かります。 それが弓選び全般に「難しい」と言われると、 「ちょっと待った~」と言いたくなります。
そして話の続きは、信頼できる楽器商で購入するか選定を先生にお願いすると 良いでしょう。というのがお決まりの文句です。
そのような月並みな意見を述べるのではこのインテルメッツォとしては満足できません
確かにオールドボウの真贋を見極めることは難しいです。
でも弾き易い弓、音の良い弓、コンディションの良い弓を 見つけることはそんなに困難なことでしょうか?
古いものになれば、いくら「本物」でも、使い込まれて傷んでしまっているものもあります。
そのような傷んだものでは演奏に支障がでるでしょう。
ですから、演奏する上では真贋は問題ではないと思います。 「本物」に拘らず、道具として「本格的」なもの、適切な性能をキープしているものを選べば良いのです。
つまり真贋を見極めることと弓選びは別ということで、そう考えれば弓は選ぶのは簡単だと思います。
上記のように、弾き易く、音が良い、更に言えば 楽器の性能、持ち味を最大限に引き出すものを ご自分の感覚で選べば良いのです。
ただ、そのときいくつか注意すべき点がございますのでその辺を今回はお話ししてみましょう。
【弓を選ぶのに必要な条件】
1)楽器自体のつくり、健康状態が良いこと。
2)楽器の調整が適切になされていること。
これは、上記の条件が満たされていないと、 楽器の反応が悪いために弓の違いが音に現れてこないからなのです。 また、良い弓を持ってきたときに、弓に楽器が負けてしまい 楽器の音がつぶれたり、雑音が発生したりする場合もあります。
ですから、弓を選ぶ際には、まずお持ちの楽器を仔細にチェックする必要があります。
ここで疑問を持たれた方がいらっしゃると思います。 弓は重さや、持ち易さ、弾き易さ(とばし易い等)で判断するので はないかと。
確かにそれらも重要な要因です。しかし最終的には「音」で判断する ことになるはずです。
弓は右手の運動すなわち奏法に深くかかわる道具です。 奏者が変わると、同じ楽器でも音が変わるのと同様、 弓の違いは、弾き易さ(いわゆる吸付き感)だけでなく音(ただし、きちんと作られた楽器の場合)にすぐ現れます。
次回(11月1日ごろ)は良い弓の条件について述べてみましょう。