ヴァイオリンの名器(銘器)を鑑賞する
ヴァイオリンの名器(銘器)について調べたい、写真を見てみたいといっても、書籍の少なさには困ってしまいます。
もちろん、外国で出版されたものでは、銘器の写真集というものは何冊もあります。
しかし、それらは非常に高価(2万円~12万円)であったり、発行した時に手に入れないと、すぐに入手困難になってしまうものが
ほとんど。 果ては、楽器のみならず、書籍までもがオークションで高い値が付いてしまうというような有様です。
ここでは、そういった「洋モノ」ではなく、日本語で書かれ、比較的安価で手にいれやすいものを ご紹介いたします。
以前学研からも超弩級の写真集(横山進一氏撮影)が出版されていたのですが、もはや絶版とか・・・・。残念です。
そういった中で、音楽之友社さんの健闘にひたすら感謝です。
「ヴァイオリンの名器」
フランツ・ファルガ著 / 佐々木庸一 訳
音楽之友社 2000円 ISBN4-276-12455-7
1960年の発行であるから、もはや古典的な著書と言えましょう。
写真は白黒であるし、お世辞にも鮮明とは言いがたいのですが、反面テキスト情報は豊富です。
日本語で読める ヴァイオリン関係の書籍が少ない中ではとにかく持っておく必要有りでしょう。
「ヴァイオリンの銘器」
渡辺 恭三
music gallery 4 音楽之友社 1650円 ISBN4-276-38004-9
本が小さいために、写真が小さいのが残念ですが、カラー写真でヴァイオリンの銘器の写真を載せているという
点で、この本は長く愛読されてきました。(1984年初版 )
また 現在の日本では無視されがちな、Mittenwald のヴァイオリンについても解説がされている点は
実に貴重です。
「これがヴァイオリンの銘器だ!」
佐藤輝彦 奥田佳道
音楽之友社 2000円 ISBN4-276-00571-X
最新刊です。そのため、楽器は現在日本で最も人気の高い、イタリアン・オールドヴァイオリン
に絞りこまれていますが、 逆に、本としてのコンセプトははっきりしています。
また、佐藤氏の豊富な経験から語られる、楽器購入のアドヴァイス、
下取りの目安などの話は実に説得力が あります。
写真のみならず、これらの実戦的な話もこの本の魅力でしょう。
サラサーテ店主北見からのお節介なひとこと
写真とはいえ、ヴァイオリンの名器(銘器)を眺めていると本当に時間の経つのを忘れてしまいます。
また、製作者について調べ出すと、まるで、推理小説の謎解きをするような面白さもあり、思わずのめりこんでしまいます。
でも、楽器を見る目というのは、現物を見て、そして、触って、弾いて完成されるものです。
くれぐれも、これらの本によって「頭でっかち」にだけはならないようにご注意下さい。